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第5章 家出少女・沙耶 5/5

last update 최신 업데이트: 2025-04-15 18:00:30

 氷をくるんだタオルを用意し、二人に渡す。二人とも、初めにくらったビンタで頬が腫れていた。

「ったく……可愛い顔を腫らしてどうする」

 そう言いながら、二人の体を確認する。小鳥〈ことり〉は親指を立て、

「私は大丈夫。ダメージはほっぺだけだから」

 そう言った。

 沙耶〈さや〉の膝が少し擦り剥けていたので、そこに消毒液をつける。

「痛っ……」

 消毒液に、沙耶がか細い声をあげる。

「当たり前だバカ。いい歳して取っ組み合いの喧嘩なんかしやがって。しかも男の目の前で……ほらっ」

 絆創膏を貼り終え、絞ったタオルで沙耶の顔を拭いた。

「涙でぐしゃぐしゃじゃないか、お前の顔」

「ふにゅう……」

 沙耶が罰悪そうにうつむく。

 悠人〈ゆうと〉は再び紅茶をいれ、二人に手渡した。

「とにかく飲め。飲んだら落ち着くから」

「ありがと、悠兄〈ゆうにい〉ちゃん」

 小鳥も椅子に座って紅茶を飲む。沙耶もしばらくうつむいていたが、悠人の手が再び頭に乗ると、小さくうなずき口をつけた。

「甘い……だが美味い……」

「アドレナリンが出まくっただろうからな。砂糖増量だ」

「この甘み、絶妙だね悠兄ちゃん」

「まあな。どうだ沙耶、少しは落ち着いたか」

「……」

 カップを置いた沙耶が、小さくうなずく。

「……大丈夫だ、問題ない」

「それならよかった。それでどうだ? 拳で何か生まれたのか?」

「う、うむ……」

 沙耶が照れくさそうに微笑んだ。

「……気にいったぞ、水瀬小鳥〈みなせ・ことり〉。拳で語ろうと言ってくれたこと、全力で相手

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